詳しくは書きませんが、とても画期的な商品。
1年ほど前この友人に会った時に商品開発の構想と試作品を見せてもらい
僕は友人(とその会社)の彗眼に舌を巻いたのでした。
「うん、ええわこれ、売れると思うわ!」
とはいえ、ここまでの大ヒットになることは正直思ってませんでした。
テレビでもどんどん取り上げられるし
有名芸能人がブログに書いたりするほどすごい話題に!
(しかもステマ料金等一銭も払っていないらしい)
今でも注文しても商品が届くのは数ヶ月待ちの大人気商品なのです。
当然マーケティングも上手く考えたのでしょうが
なんといっても商品力。商品が素晴らしい。
今までにない切り口で思わず口コミしたくなような魅力がある商品なんです。
先日、その友人と呑む機会があったので
「どういう経緯であの商品のアイデア思いついて商品化に踏み切ったの?」
と聞いてみたのです。
友人は、ちょっと得意気に陽気な調子で開発のコンセプトを説明してくれた。
まずは先行している商品のヒットの背景を分析し
ターゲットの人口動態の変化と、その変化による予算配分の変化。
また、ライバル商品の問題点もあげ、そこに欠けている「日本的な文化背景」と楽しさの融合・・・
また、中小企業である友人の会社がどのようにマーケティングしていくか。
その市場とターゲットに明るくない僕にもわかりやすく、
時に例えを交えながら、時に笑えるエピソードも交えながら詳細に。
ひと通り話し終わった後、
これらは全部タテマエだと言ったのである。
表向き、メディア向けの商品開発コンセプトである、と。
「実はな、なかなかうまいこといかん社員がおっての。そいつをどないして使こうてやるろうかとアレコレしてできたんがコレよ」
苦虫を噛み潰したような顔で、アジのタタキを口に押し込みんだ後
友人は僕に真相を教えてくれたのです。
ひとりの新入社員さんがいたのだが、
その新人さんは友人の会社の本業の技術も全然習得できない。
営業に行っても全然受注できない。
でも、本人は頑張っているし、やる気もある。
大きな会社ならいろいろなセクションで可能性を試せるかもしれないが
そこは中小企業、技術職か営業職くらいしか担当部署がない。
お金関係は新入社員には任せられない・・・
と活用に苦難していた。らしい。
どーにも使いようがないので、雑用などさせていたのだが
ある時その会社が行うイベントのための看板(かなにか・失念したww)を作らせたら
驚くほどのクオリティだったのだ。
その手先の器用さとアイデアに驚いた友人は
「もしかしたら、なんか作らせたら力発揮しよるんじゃなかろうか」
とひらめき、その新人に商品開発プロジェクトを任せた。
もちろん、ターゲットと大まかな商品コンセプトは指示したが
その新人に考えさせて、試作させ・・・
を繰り返しやっと形になったのが
前回僕が会った時に見せてもらった試作品だったのだ。
「みんなには、”市場を読んだ”みたいなこと言いよるけど、実は苦肉の策やったんよ」
そういって、友人はますます顔をしかめた。
「ま。運じゃな」
なんとかして社員の可能性を引き出してやろうする愛が産んだヒット商品や!
試作品ができてからは、トントン拍子で口コミが広がり
あれよあれよの大ヒットとなった。
「前は暗い顔して出てきてたヤツが、いまは堂々と出社してくるのが嬉しゅうてな」
新人君にしてみれば、「使えない社員」から「大ヒット商品の開発者」への大逆転。
その感慨もひとしおでしょうね。
正直、僕にはヒットの方程式はわからない。
コンセプトがよくても
マーケティングが上手くても
売れないときは売れない。
少々まずいところがあっても爆発的に売れることもある。
友人の言うように「運」の要素も大きいと思う。
だけど、今回の商品のヒットの成功の裏には
社員を信じて、伸ばして、任せた社長の愛があるのではないか。
この商品のヒットの要因は愛やで!うん。
話に聞き入ってしまい放置したぬるいビールを無理やり流し込みながら
ぼんやりとそんなことを考えたのでありました。